日本型雇用システムの特徴とメリット・デメリット

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これまでの歴史において、日本を含めた世界各国は文化面や社会面など問わず、あらゆる分野において独自のシステムを構築し、各々発展を続けてきました。雇用システムにおいても例外ではなく、日本企業においては「日本型雇用システム」とも呼べるような制度が発達し、「欧米型」との対比がなされてきました。今回は、そのような日本型雇用システムについて改めて諸外国のものと比較し、その特徴について述べていきます。

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日本型雇用システムとは

まず初めに、日本型雇用システムの概要について、欧米型との比較を行います。論者により解釈はまちまちではありますが、おおむね以下の表のようにまとめることができます。

比較項目 日本型 欧米型
労働契約 終身雇用(メンバーシップ) 職務(ジョブ)
評価・賃金 年功序列 成果主義
労働組合 企業別組合 職業別組合・産業別組合

以下、各項目について紹介していきます。

雇用契約

日本型雇用システムの最大の特徴ともいえるのが、終身雇用の制度です。正社員として会社に入れば、その後は定年までの雇用が保証されています。労働基準法上は「期間の定めのない雇用」として記載されていて、法的には「終身雇用」という表現は存在していません。また、労働基準法には「解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という「解雇権濫用の法理」の考えに基づく記載もあり、企業側が労働者側に言い渡した解雇通知に対して労働者が不服として裁判となれば、その解雇を無効とする判決がでる可能性があります。特定の職掌、業務に携わることを前提に雇用され、その業務が消滅すれば解雇される欧米型とは対極にあります。

評価・賃金

終身雇用制度を前提に、入社してからの年数に応じて役職や賃金が決定されるのが日本型の年功序列制度です。年数が経過するに従ってスキルや経験が高まっていくという考え方が背景にあります。一方、年数は考慮せず、実際にどれほどの成果を出して会社に貢献してきたかによって役職や賃金を決定していくのが欧米型の成果主義制度です。

労働組合

労働組合の構成についても日本独自の慣行が存在しています。ひとつの企業ないし企業グループの従業員で構成された労働組合が、日本型の企業別組合です。それに対して欧米では、同一職業、同一職種に従事する労働者が企業の枠を超えて横断的に作る職業別組合や、産業別に組織された産業別組合などが一般的です。

日本型雇用システムのメリット

労働者側的目線

正規労働者として入社できれば、終身雇用の制度によって定年までの経済的安定を得ることができます。さらに、年功序列制度の存在により、将来得られる収入の予測が立てやすく、住宅や自動車の購入や配偶者との人生設計などがしやすいのがメリットです。

企業側的目線

一人の社員が長期間自社内に雇用されるため、中途社員の採用や社員教育に力を入れる必要がありません。もしも業績の悪化により労働供給が過剰となったとしても、スキルの高い人材を抱えておくことができれば将来の回復時にも対応できます。

社会的目線

終身雇用制度の存在が、技術革新の促進に効果があったとする研究もあります。仮に生産性向上により特定の部署や業務が消滅したとしても、企業内労働市場の流動性が高いため、同じ企業内の別部署への移動が可能であることから、新技術への反発が欧米と比較して少ないことが理由として考えられています。

日本型雇用システムのデメリット

労働者側目線

定年までの雇用を保証してもらえることは、言い換えれば会社への「忠誠」を求められているということにもつながり、業務内容に不満があったり、業績が悪化したりする場合にも転職しにくいというデメリットがあります。

企業側目線

急激な市場環境の変化により需要が減少しても、従業員を解雇できないために柔軟な対応ができず、さらに状況が悪化してしまう恐れがあります。変化への対応スピードの観点で、欧米型企業に対して後れを取ってしまいやすい点がデメリットとして挙げられます。

社会的目線

社外労働市場が流動的でないため、労働力再配置が進みにくく、産業構造の変化への対応が遅れがちになります。また、終身雇用や年功賃金といった制度は基本的に正規労働者のみが享受できるメリットであるため、派遣社員のような非正規労働者へしわ寄せが行きやすく、労働者間の格差にもつながりやすいと考えられます。

日本型雇用システムの変容

日本の高度経済成長期からバブル崩壊までの時期においては、これまで紹介してきたような日本型雇用システムがうまく機能し、「人的資本」の著者で経済学者のベッカーをはじめとして世界中から称賛を浴びていました。ところが、これまでに述べてきたようなデメリットに注目が集まったことや、人口減少による人手不足時代の到来、そして社会保障制度への不安の高まり、女性や高齢者の労働参加率の拡大などを背景に、システムも変容しつつあります。終身雇用制度は実質的に崩壊し、年功序列から成果主義へのシフトが進むなど、時代の変化に合わせて日本企業も方針を転換し、グローバルな競争に打ち勝つ努力を続けています。

まとめ

クラウドソーシングの普及や、政府の掲げる「働き方改革」に象徴されるように、労働者と企業の関係性は大きく変わりつつあります。情報革命、グローバリゼーションと呼ばれるようなパラダイムシフトの流れの中で、雇用システムはどのようにあるべきなのでしょうか。単なる経済成長だけでなく、国民一人一人の幸福のためにも、改めて「働き方」を真剣に考えるべき時期が到来しているといえるでしょう。

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